「観終わったあと、誰かと語り合いたくなる」映画『ムカウノ今日』一般試写会レポート 鑑賞者アンケートから届いた声 2026.9.29
左から山北澪、水澤真子、はべあきひろ監督、塚田光虹、亀井理那
はべあきひろが脚本・監督・編集を務める映画『ムカウノ今日』の一般試写会が、2026年9月13日(日)に東京・銀座のTCC試写室で開催された。上映後には舞台挨拶も行われ、会場は終始和やかな雰囲気に。本記事では当日の様子とともに、鑑賞後のアンケートに寄せられた観客の声を紹介する。
銀座・TCC試写室で32分の物語を上映 上映後には舞台挨拶も
テラスマガジンでも参加者を募集した今回の一般試写会。会場となったTCC試写室には、20代から60代まで幅広い世代の観客が集まった。アンケートによると、試写会に何度も足を運んでいる映画ファンから「今回が初めて」という人までさまざまで、参加のきっかけも「作品のテーマ・内容に興味があった」「出演者・監督に興味があった」「タイトルが興味深かった」と多岐にわたった。
32分の本編上映後には舞台挨拶が行われ、はべあきひろ監督と出演者の塚田光虹、亀井理那、山北澪が登壇。同じく出演の水澤真子がMCを務めた。撮影の舞台裏なども語られ、観客からは「舞台挨拶では、皆様の素敵な笑顔が印象的で、チームワークの良さを直接感じ取ることができました」「最後の出演者の方たちのお話も楽しかったです」といった感想が寄せられた。
舞台挨拶の様子
回答者の9割以上が「良かった」以上と評価——「想像力の価値を改めて肯定してくれる」
鑑賞後のアンケートでは、総合評価で「とても良かった」「良かった」と答えた人が回答者の9割以上を占めた。理由として「利便性と引き換えに孤独を抱えがちな現代社会において、『人間の想像力の価値』を改めて肯定してくれる強いメッセージ性を感じた」(30代・女性)といった声が寄せられている。項目別では「上映時間やテンポ」の評価が最も高く、「32分という短さにテーマ性が詰まっていてとてもよかった」「短編という点を逆手に取りシンプルで、且つ人間をしっかりと描いていた」と、短編ならではの密度を評価する声が目立った。
AIに安らぎを求める政治家や、妄想に耽る会社員など、孤独や理想を抱えた登場人物たちが一つの映画館に集う構成が見事でした。テクノロジーが進化する現代において「人はなぜ想像するのか」という普遍的な問いが重く、そして優しく心に刺さりました。32分という短尺ながら、人間の脆さと愛おしさがギュッと凝縮された濃密な作品。観終わったあと、誰かと語り合いたくなるような不思議な余韻に包まれています。
(30代・女性)
感情がある人間と、否定せずに寄り添ってくれるAIの奥深さについて考えさせられました。
(50代・女性)
内包しているテーマが深くて、受け取り手によっていくつもの解釈や、味わい方ができる作品だと思った。「理解できないものに出会ったとき、想像してみること」。その言葉がとても刺さりました。
(60代・女性)
普段映画を観る時は、登場人物に自己を投影したりしますが、今作では通常のように観る視点から探っていく中で、自己を見つめる機会になっていたのも印象的でした。
(20代・男性)
そのほか「様々な生活の中で、人それぞれの生き様や希望が丁寧に描かれていた」(60代・男性)、「ポジティブ妄想はいいなあと思った」(50代・男性)といった声も。一方で「ストーリーなど難解な部分もあったので、もう何度か観てみたい」「一回見ただけでは理解しづらかった」と、繰り返し観て確かめたいという感想や、「監督のQ&Aの機会があるといいな」「試写のあとに質疑応答の時間が欲しかった」と、作り手とさらに対話したいという要望も寄せられた。観る人によって受け取り方が変わり、観たあとに言葉を交わしたくなる——そんな本作の性格がうかがえる結果となった。
印象に残ったのは喫茶店の会話、AIと政治家、映画館のラストシーン
印象に残った場面として複数挙がったのが、登場人物たちが一つの映画館に集うクライマックス。「4名の主人公が映画館に集まり、それぞれの意見を主張し合うシーンが特に印象に残りました」(60代・男性)、「最後に劇場に集まり心情を吐露するシーン」(50代・男性)といった声が寄せられた。
政治家がうどんが食べたいとAIに言って、作ってくれないんだねーというシーンが、AIも完全じゃない事が切なく伝わってきて面白かった。
(50代・女性)
役作りに向き合おうとする女優の姿と、その劇中劇のようなシーンの張り詰めた空気感がとても印象的でした。「嘘(虚構)」を描く映画という表現の中で、登場人物たちがそれぞれの理想や妄想(想像)を必死に生きようとする生々しさが、役者陣の繊細な演技からストレートに伝わってきました。
(30代・女性)
塚田光虹さん演じる女優の役どころ。与えられたことをそのままやり切る姿勢と、ポジティブさの中にある空虚な一面。はべ監督によるそのシーンの舞台裏のお話もセットで面白かったです。
(20代・男性)
ほかにも「喫茶店の2人の会話は楽しかった」(50代・男性)、「亀井さんが演じていた上司が、個性が際立ってて面白いキャラだなと感じました」(20代・男性)と会社員パートを挙げる声や、「導入のドリーショット、政治家のシーンの静謐な感じ」(40代・男性)、「冒頭の、カメラレーンが続いていくシーンが、フィルムが流れて行くようで面白かった」(60代・女性)と映像表現に注目する声もあった。
会場のTCC試写室にて
「こんな人に観てほしい」——孤独や迷いを抱える人へ
「今後、本作が上映された場合、どのような方に観てほしいか」という質問には、次のような回答が寄せられた。
- SNSやデジタルな繋がりに溢れているはずなのに、どこか心の底に埋まらない孤独や生きづらさを抱えている人にこそ観てほしい(30代・女性)
- 正解がわからず、一人で抱えて悩んでる方(50代・女性)
- 自分を見失いそうな方や指針を探している方(20代・男性)
- 人生を見つめなおしたいと思っている人(50代・女性)
- ちょっと気持ちがおちてる人(50代・男性)
- 若い人、10代後半から20代ぐらいの、悩み多き世代(50代・男性)
- 哲学的なこと、形而上的なことを思案するのが好きなひと(40代・男性)
- 普段よく映画を観る方にオススメだと思います(20代・男性)
「もう一度観てみたいと思いました。監督には今後とも活躍していただきたいです」「次回作、期待してます!」と、作品と作り手へのエールも届いた『ムカウノ今日』。今後の展開にも注目したい。
作品概要
AIとの対話に安らぎを求める政治家。理想と妄想を語り合う会社員。想像を頼りに役と向き合う女優。異なる場所で生きる人々は、それぞれの理想や希望を胸に今日を生きている。やがて彼らは一つの映画館に集い、自らの想いを語り始める——。人はなぜ想像するのか。そして、私たちは何を信じて今日を生きているのか。
- タイトル:ムカウノ今日
- 2026年/日本/32分
- 出演:塚田光虹 松田好太郎 亀井理那 山北澪 水澤真子 影山巌 AKI 難波明良
- 脚本・監督・編集:はべあきひろ
- 撮影監督:喜多悠介/録音:内藤和幸/衣装:TATSUO
- ヘアメイク:渡邉彩音 立花花 阿部ひまり
- 音楽:世古美月(奉納演奏家 和のフルート奏者) 内倉健吾 原田真悟 菅野綱義
- 助監督:川島瑞季/撮影助手:山崎敬史 高木泰宏 佐々木春加 中井愛弥圭 山口朋花
- 制作:中澤亮介/協力:株式会社バイ・ザ・ウェイ 株式会社STATION88
- 企画・製作:株式会社絵心劇 kaishingeki
一般試写会 開催概要
- 日程:2026年9月13日(日)※終了
- 会場:TCC試写室(〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目3番先 西土橋ビル102号・地下1階)
- 上映作品:映画『ムカウノ今日』(32分)
- 内容:本編上映、上映後舞台挨拶